個で勝負

先日,ワークスアプリケーションズ CEO 牧野さんの話を聞いてきた.

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(出典:エンタープライズアプリケーションを創造的に破壊せよ)

今回は,就職活動というか,サマーインターン選考をそろそろ考え始めた大学3年・M1を対象にした講演だった. その中で一番印象に残っているのは,

これからは個で勝負しなければいけない

この言葉を聞いた時に,思い出したことがある.数年前のサッカーワールドカップで日本代表が負けて,日本でおこなった会見である.もちろんのこのような発言をするのは,本田圭佑選手しかいない.

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(出典:W杯出場を決めたオーストラリア戦から一夜明け、記者会見する本田圭佑 Photo By スポニチ)

以下,会見動画

(本田圭佑、2分半の熱弁 「チームワークは生まれ持ったもの。個を磨くしかない」 )

最後は個で試合を決することがほとんど.チームワークは生まれ持った才能.どうやって自立した選手になるのか.

このような考えを持っていると,どうしても冷たい人間のように思われるかもしれない.なぜなら,「チームをもっと大事に」「組織として動くべきだ」と日本では,言われ続けているからだ.

果たして,組織第一主義は正しいのだろうか.この考え方が,日本が今後発展するために必要な考え方なのでろうか.

決して,組織・集団を無下に扱ってもいいというわけではない. 組織・集団に尽くすのではなく,それらをうまく使いこなして,自分の能力を高めるべきなのだ. そうしないと,その組織から一歩出ると,全く使い物にならない人材になっている可能性が高い.

「それでもいいじゃないか」と思うかもしれない.しかし,この考え方は,高度経済成長がすぎた日本では時代遅れの考えなのだ.

プロスポーツを考えて欲しい.プロ野球でもJリーグでも,個人の能力が評価されて,他のチームに移籍したり,海外に挑戦できる人がいる.あれは,その組織にかかわらず,個人の能力を高めようとしているために可能なのだ. そのおかげで,野球でも,サッカーでも海外で活躍できる選手は増えてきている.

話を戻して,日本のものづくりに目を向けてみる. 日本の既存のモノづくりは,成熟してしまっている.つまり,イノベーションを起こさないと,他の先進国にこのまま置いてきぼりにされて,日本は潰れてしまうだろう.

イノベーションを起こすためには,個の力が必要になる.個人がなにを生み出し,なにをしたかが重要になる.

いわゆる、「0から1を生み出すことができる」能力が求められ,評価される.

この能力を鍛えている欧米のエリートたちは,転職が容易にできるのだ.たとえそれが同業他社であろうと,関係ない.能力がある人は,どの企業もほしいのである.

しかし,ここに年齢の壁が立ちはだかる.日本を見ても,世界を見ても,40歳を超えてからイノベーションを起こした人は極少数である.30代が勝負の期間なのだ. もちろん,20代で勝負をかけてもいいのだが,20代では知識と経験が少なすぎて,世の中でなにが求められ,必要とされているのかが見つけづらい.

なので,20代は情報収集と経験を積むことに全力を尽くすのがいい.

就職は,そういう環境が整っている会社を選ぶべきなのだ.そこで,牧野さんは次の3つの条件をあげていた.

  • その会社は,難しい仕事をやっているか(誰でもできないことをやっているか,弁護士や会計士のような知識を詰め込めばできる仕事は当てはまらない)
  • 同期,自分の少し上の上司が優秀であるか.経営者が優秀かは関係ない,年に会うのは数回だからである.
  • 創業経営者はまだ生きているか.生きていれば,スピリットが残っていて,正しいことは正しいと言える唯一の人であるから.

1つ目の企業は,この条件にあっていれば,自分のやりたいことと少しずれていてもいい.そこで培った個の力を持って,30代を迎え,勝負をかければいい.

そうすれば,自然と30歳を迎えた頃には,選択肢は増えているだろう.同業他社に転職もよし,新しい分野に転職もよし,企業だって一つの選択肢になるだろう.

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今回の記事の内容は,綺麗に飲み込めない方もいるかもしれない.それはそれでいいと思うが,日本を変えて,日本をこれから引っ張っていきたいと考えている方は,ぜひ今回の内容を胸に留めておいてほしい.